2018年3月30日 6:11 pm

借金に関するご相談は、適切な法的規制(借りられる金額の総量規制など)がなされたこともあり、

平成10年代後半~平成20年代前半と比べ、減少傾向にあります。

もっとも、名古屋地方裁判所では依然として年間2000件前後の破産事件を受け付けていることから、

事件全体としては数多くの自己破産事件が存在しています。

今回は、上記自己破産による債務整理の方法ではなく、任意整理と呼ばれる債務整理の方法についてまずはご説明します。

なお、一般的によく使われる用語である債務整理とは、自己破産、個人再生、任意整理などの手続の総称であり、

債務整理は任意整理に比べてより広い概念を意味します。

 

【任意整理について】

任意整理とは、債権者と任意の交渉を行い、債務の分割払いなどを求めて、毎月の返済額を抑える債務整理方法をいいます。

具体的には、弁護士が銀行や貸金業者などと交渉を行い、将来利息(将来発生する利息)をカットしたり、比較的長期の分割弁済の和解を取り付けて、借金の返済額を減少させます。

 

【任意整理と裁判所を通じた法的整理(自己破産・個人再生)の違い】

1 自己破産との違いについて

自己破産とは、借金を0にしてもらう(裁判所から免責許可決定を受ける)ために、裁判所へ必要な書類を準備して提出したり、

裁判所へ出頭したりする手続等をいいます。

任意整理においては、自己破産に必要な書類の準備・裁判所への出頭などが不要であるため、裁判所を通じて債務の整理を行う自己破産とは異なります。

また、自己破産の場合、破産手続開始決定時、免責許可決定時の2回破産者の名前等が官報に掲載されます。

任意整理においては、ご依頼者様の名前が官報に載ることはありません。

 

2 個人再生との違いについて

個人再生とは、借金を減額(5分の1などに減額)したうえで、原則として3年間で借金を返済する法的整理手続をいいます。

任意整理においては、借金の減額を見込める可能性はあるものの、個人再生ほどの減額が出来ることはまずありません。また、返済期間も3年ではなく、さらに長期の分割を求めること出来る場合がある点で、個人再生とは異なります。

また、個人再生の場合も、自己破産と同様、再生計画の認可決定時に再生債務者の名前等が官報に掲載されます。

前述のとおり、任意整理においては、官報にご依頼者様の名前が載るといったことはありません。

もっとも、官報を定期購読されている一般の方はかなり少数であると考えられます。

 

【任意整理のメリットについて】

任意整理のメリットとしては、

①債権者数が少ない場合は自己破産などと比較して弁護士費用が低廉であること、

②自己破産と異なり資格制限が生じないこと、③個人再生と異なり、3年を超える返済期間での和解が成立する可能性もあること

④任意整理をしていることが官報に掲載されることはないこと(もっとも、前述のとおり官報を日常的に購読している人は少ないと考えられます)、

⑤将来利息のカットが出来る可能性があること、

⑥対象となる債権者を選べること

などがあります。

 

【任意整理のデメリットについて】

逆に、任意整理のデメリットとしては、

①裁判所を通さない交渉による手続であることや、和解に応じるかは債権者次第という部分があるため、最終的な月額返済額などの結果を完全に予測することが難しいこと、

②単純に返済額が自己破産や個人再生よりも多いこと(自己破産は、原則として0円です。)、

③いわゆる「ブラックリスト」に掲載されること(これは、自己破産、個人再生の場合であっても同じです)

などがあります。なお、「ブラックリスト」に載るとは、信用情報機関の信用情報に債務整理手続を行った情報等(事故情報)が掲載されることを言います。「ブラックリスト」に掲載されてから一般的には10年程度で当該情報は掲載されなくなるため、そこまでのデメリットではなく、むしろ直ちに借り入れが出来なくなる点では好ましい影響とも言えそうです。

 

【任意整理の手続・費用について】

1 手続について

①ご相談

ご相談者様から債権者数や債権者の名称、債務総額、現在のご収入や毎月の支出額など、任意整理に必要な情報をお伺いします。

 

②ご契約

ご依頼いただいた場合は、委任契約書等を作成のうえ、ご署名・ご捺印いただきます。

 

③受任通知の発送

ご依頼後、着手金のご入金後直ちに各債権者に対して受任通知を発送します。

受任通知が債権者に到着後は、貸金業者からの督促などがストップします。

 

④和解交渉

適宜、ご依頼者様からご希望をお伺いの上、返済可能な範囲での和解交渉を行います。

 

⑤和解成立・返済開始

各債権者との和解が成立し、返済開始月となりましたら、ご依頼者様にて返済を開始します。

 

2 費用について

当事務所では、平成30年4月現在、任意整理の費用につき、原則として、

債権者1社あたり

①着手金として2万円+税金、

②報酬金として2万円+税金+債権者主張額から減額した金額の10%

を頂戴しております(実費は別途いただいております)。

ご事情をお伺いのうえ、分割払いにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

【まとめ】

任意整理は、自己破産・個人再生などともに、選択肢として挙げられる債務整理の方法です。

各種メリット・デメリットを考慮のうえ、ご相談・ご依頼いただければと思います。

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